九月某日   2008年

気がついたら、窓の外で秋の虫がチンチロリンと鳴いているじゃござんせんか。
いやぁ、思えば去年の暮の水辺の稽古場から、1月の大阪滞在、2月の青山劇場と3か月に及ぶ『ファントム』の出演、さてメトローマンスホテルのアルバム発売だと張り切ってたら、今度は『道元の冒険』さんだぁーと、今年の夏までお芝居の世界にご奉仕、ならびに帰依してまいりました。

『ファントム』では、観に来られた方々には、「一体いつ歌うんだ!?」とヤキモキしたと突っ込まれたが、クライマックスになだれ込む、それはそれはいい場面を用意していただきました。
いやね、年のせいか? 毎回泣きながら歌っとったとですよ。ま、大っきな会場だから最前列あたりの人達くらいが気付くか気付かないかくらいの話だけどね。
でもあたしの息子があんな大きな大沢たかお君で大丈夫かと心配したけど、「ちゃんと父子に見えた」とたくさんの人から言われて、ホッとしました。


●Phantom 大阪●

●Phantom 名古屋●

●Phantom 東京●

で、5月に『Porca Miseria !』の発売記念Liveをやったのだけど、いろいろと問題が生じ、めでたさ半減…どころか、発売寸前に廃盤(!?)という前代未聞の不祥事に見舞われ…ッてこの辺はいろいろとあって大っぴらにするのもはばかれるので、ライヴでお話することになろう。

●第一次『Porca Miseria!』の役●
(5/5@表参道FAB)

●(5/23@大阪RainDogs) 第一次『Porca Miseria!』の役・大阪皐月の陣

●(5/23@大阪RainDogs) 第一次『Porca Miseria!』の役・大阪皐月の陣

Happy Birthday Alan !
Happy Birthday Alan !
with Freylekh Jamboree 瀬戸信行, 山口涼子
with Freylekh Jamboree 瀬戸信行, 山口涼子

(5/24@大阪Heaven's Door)

前日に引き続き、フレイレフ・ジャンボリーの瀬戸くん飛び入り参加
前日に引き続き、フレイレフ・ジャンボリーの瀬戸くん飛び入り参加
マイヤ・バルー
マイヤ・バルー
打ち上げ。RainDogs 大将ダケさんと、浪速の歌い手C-Rag兄さんと放浪の歌姫あずみけいこ嬢と。
打ち上げ。RainDogs 大将ダケさんと、浪速の歌い手C-Rag兄さんと放浪の歌姫あずみけいこ嬢と。

で、あらたに8月に発売日を…などと言ってるうちに、ひたひたと、いや、ズンズンと足音が近づいて来たのであった。道元禅師の…これのまた大きな阿部ちゃんの大きな足が…。

「そうだ。京都に行こう」
京三さぁーん、そんなのんき節かましてらんないんだよねー。
なんせ日本の演劇界の重鎮の二大巨頭が、浅草寺のあうんの仁王像のように立っておるでないか。そして実際にお仕事をさせてもらって得心したことは、お二人とも執念深く、頑固だということだ。
この壁は高くそびえ、なんと厚かったことか…なんてね。でも、このお二方の芝居に対する熱意、というかその情熱には、ほんと心揺さぶられる思いで、大きなエネルギーを授かりました。考えてみたら、自分よりかなり年長の方々と、こうしてガチンコ勝負するなんて初体験なのだ。ましてや、ポスターなんかにゃ、その二人と併記三本柱で名前が載っちまった日にゃ「えっ、ほんと? ほんとに俺がやるの? 俺で いいの?」みたいな、突然止めちゃった首相みたいに人ごとのような心持ちだったから。


稽古の初めの方に、青山にある禅寺にキャスト、スタッフ全員で参拝、見学に行って、キャストは坐禅を組んで、もろもろ作法などを教わったり、スタッフは僧衣や寺の作りやいろいろなことを教えていただいたり、質問したりしたのだけれど、その時ナマで見た雲水さんたち全員三十人近くであげる般若心経の迫力に圧倒された。一種のトランス状態に至るんじゃないかって思ったほど。
それら接したお陰で、冒頭の「般若波羅、波羅、波羅、波羅蜜多ソング」がスッと湧いてきたのだ。

で、それから稽古に入ると二人のこだわりが、あたしにドドーンと押し寄せてくるわけで、井上さんは40年近く前に書いた台本を、より現代の感覚に近づけようと、ほんとびっしり元の台本原稿が真っ黒になるくらい直しを入れてくるし、蜷川さんは禅僧の作法に始まって、しまいにゃ「本物のニワトリを持って来い!」っていうまでこだわるし…。

今はまだ思い出すとつらくなるので…なんてね。とにもかくにも歯を食いしばって時間との戦いに苦しみながら産んだ曲たち、20曲はほんとに子供のようなもの。
その子たちを朗々と歌ってくれた阿部寛禅師始め、なんとこれが初舞台だというのに堂々とやり切る力と根性を見せた栗山千明ちゃん、役者になるべくして生まれて来たような北村有起哉くん、おれのむずかしい注文をすんげぇ艶っぽく婀娜っぽく歌い上げてくれた横山めぐみさん、そして何より「役者」というものの何たるか、「本来の面目」を目の当たりに体現してくださった木場勝己大兄、面倒な曲作ってごめんね洋くん、爺の歌がはまったね大石ちゃん、しっかと歌を支えてくれたサッチンとのぶえしゃん、神保さん頭下がります…と皆で一段も二段も高みに持って行って、膨らみと豊かさをもたらしてくれて、ほんとありがとう。

蜷川さん、おれにやさしく接してくれてありがとう。(いやぁ、最初は実に怖かったもん、お会いするまでは。)
この『道元』のお芝居に、とてつもなく大きなものをもらった気がします。
今すぐ何だと言えるものじゃないけど、じわじわと俺の血肉となっていくと強く思っている。

さぁ、秋だ。歌を歌おう。音楽を奏でよう。
HONZIが旅に出てから、もうすぐ一年か。何と早いことか。
みんな、またぞろ集まってくれ。
俺の歌を聴きに来てくれ。メトローマンスの音楽を楽しみに来てくれ。
ジャケットもリニューアルして『Porca Miseria !!』(!!←これがポイントよ)再び、持ってない人はもちろん、幻盤となったやつを持ってる人もあらたに(!?)手に入れるべく19日、来ておくれ。

9/19 ヨタロウ with メトローマンスホテルの
詳細については、こちらのページをご覧ください。

 

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